赤本王
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問一:に、問二:い、問三:い、問四:は、問五:管弦の遊び
現代語訳
隠し難い胸中(后への恋心)を打ち明けてしまおうと思うけれども、そうはいってもやはりそれを打ち明けることはなく、どうしようもなく悲しいときに、皇子も少しお立ち退きあそばすので、「后の前にいる女房たちも、それぞれ何かおしゃべりしているのだろうか」と思われる話し声が聞こえてくるのに紛れて、
【中納言から后への歌】もう一度あの夜のことが夢か現実かを調べる方法もありません。いったいどのようにして見た夜の夢だったのでしょう。
と、かなりこっそりとごまかして詠んでいらっしゃる。
【后から中納言への歌】夢としてさえも、あなたはどうして思い出しているのでしょう。ましてや現実としてはなおさら思い出さないでほしい。単なる幻のようなはかない出逢いでは、逢ったことになるでしょうか。いや、逢ったことにはなりません。
隠しきれそうにない中納言の御様子を見るつらさから、后はこの歌をはっきりと言うのではなく、かすかに紛らわして言って、御簾の向こうにするりと入りなさった。並一通りではなく世間体を気にするのでなければ、引きとめ申し上げるにちがいないけれど、中納言は分別があり、差し控える。 内裏から皇子がお出ましあそばして、管絃のご演奏が始まる。中納言はどんな音楽の音も何とも感じられない気がするけれども、この中国から今夜を限りに去るのだと思うと、気丈に堪えて、皇子から琵琶を頂戴なさるのも、現実だという気持ちはしない。
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